▼前回の記事
前回は適応障害が身近で恐ろしい精神疾患であることをお話しましたが、今回は適応障害の「治療法」について4つまとめてみました。
環境調整(ストレス因の除去)
前回の記事で適応障害の原因は悪いストレスが原因だとお話しました。
例えばですが、ある女性が付き合っている恋人から暴力を受けていることが原因で、適応障害になったとします。そうした場合は、その恋人から離れることで適症状の改善がある程度見込めるだろうと言われております。
しかしながら、この環境調整には問題点があります。
それはストレスの対象が家族であったり、私のように生活を支えている仕事であったりすると自分と切り離すことがなかなか困難な場合があることです。
そういった場合はカウンセリング療法が重要になってきます。
カウンセリング療法(本人の適応力を高める)
認知行動療法
自身の考え方や受け取り方(認知)に働きかけて、気持ちを楽にしたり行動をコントロールしたりする治療法のことです。
例えば、あなたが誰もいない夜道で迷っていたとしましょう。
「きちんと準備をしてたらこんなことにはならなかったのに」と考えて憂鬱なストレスになるかもしれません。あるいはその道を教えた人に対して「間違った道を教えやがって…一生許さない!」という怒りのストレスなるかもしれません。
ですがそこで考え方を「この道を歩いていればいつか誰かに会えるかも」という希望に変えることができればストレスは軽減されます。
つまり、認知行動療法はある体験に対してのとらえ方をストレスがなるべく軽減されるように考え方を変えることを言います。
問題解決療法
現在患者さんが抱えている悪いストレスと症状に焦点を当てて、具体的な解決策を探していく治療法のことです。先ほどストレスの対象が家族や生活を支えている仕事などの場合、環境調整は難しいというお話をしましたが、そういう時にはこの療法が有効だとされています。
例えば、経済面で致し方なく家族と一緒にいなければいけない場合「連絡回数を制限する」「1人になれる時間を増やしてもらう」などの解決策を考えれば、そのストレスはある程度軽減される可能性が高いですし、仕事の場合なら「休職」という選択肢をとることで、会社を辞めずに休むことが可能です。
ただし、カウンセリングはカウンセラーさんと患者さんが一緒になって行っていくものです。患者さん自身が積極的に取り組んでいくことでカウンセリングの本来の効果を発揮することが出来ます。「カウンセラーの先生に促されて仕方なくカウンセリングをしている」という消極的なカウンセリングではなかなか効果を見込めないとされています。
薬物療法(情緒面や行動面への介入)
不安や不眠、うつ状態などに合わせて薬物を投与することで、寝つきをよくしたり、活動しやすくすることができます。ただし、薬物療法はあくまでも「症状の改善のための治療法」です。根本的な問題であるストレスの原因を解決する治療法ではありません。
薬を飲んだからと言って、根本の原因である家族の環境や仕事の環境が勝手によくなってくれるわけではないからです。
規則正しい生活
どの療法よりも基本的で大切なことです。意外なことだと思われるかもしれませんが、この療法だけは自分で自分をコントロールする必要があるからです。
毎日3食バランスよく食べて、最低6時間以上の十分な睡眠をとり、適度に運動をする生活は健康な人でもなかなか難しいものです。最近は偏食な若者が多く「新型栄養失調」なんて言われたり、運動不足による「生活習慣病」も当たり前になってきたりしています。
ですが動いて汗をかくとお腹がすきます。それでお腹がすけばご飯をおいしくたくさん食べられて、おなかが満たされたら眠たくなってきますから眠りにつきやすくなるんですね。
規則正しい生活を送ると、「人間本来の治癒力」が作用して活力がわいてくるようになります。その治癒力が体と心に作用して、だんだんと回復につながっていくんですね。
理想の治療法
まずは規則正しい生活が出来るようになることをゴールに設定してみましょう。
薬物療法で不眠・食欲不振などの体の症状を改善しつつ、患者さん自身が自らの意思で積極的にカウンセリングを行い、ストレスの原因である環境を調整していくことで根本的な問題が解決し最終的には回復につながっていくと思われます。
もちろん無理は禁物です。何も出来ない・したくない日は何も出来なくていいし、しなくても構いません。とにかく1つずつ1つずつ、ゆっくりゆっくりを心掛けて、何か1つでも出来たら自分をたくさん褒めてあげてください。
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