エイプリルフールの冗談かと思ったら、本物でした。
4月1日の17時すぎ。2月13日に申し込みを完了していた「#前澤ファンド」の結果通知が届きました。事業内容は下記に詳細を記載します。結論から言うと精神疾患患者さん向けのアプリ開発事業です。提案書はwordの資料を9枚分書いてPDF1枚にして提出しました。
事業内容
ではまず「#前澤ファンド」に提案した内容をほぼそのまま、ブログ記事形式に合わせてお話しします。私が今回提案した事業内容は「全国の精神科と心療内科・カウンセラー(フリーカウンセラーも含む)・患者」を繋ぐ「スマホスピタル」というアプリでした。下記の画像はイメージです。
フリー素材イラスト:nokiart
現状の課題
このアプリがあれば診察、カウンセリング、薬の処方箋の郵送までしてくれるので、いわば「自宅を病院にできるアプリ」です。下の図が今回のスマホスピタルのイメージ図と、アプリの内容です。
アプリの内容
- 24時間簡単予約
- 保険証登録可
- 保険適用可(現状カウンセリングは保険適用不可)
- 患者は自宅でテレビ電話により精神科医・心療内科医に診察、カウンセリング可能
- 薬や処方箋は郵送可
- カウンセラーと患者の相性を診断可(心理学研究で信頼度の高いBIG5を利用?)
- 医師やカウンセラーのプロフィールを掲載可能?(親しみやすくするため)
- どの医師・カウンセラーを選んでもOK
- 口コミやレビューを掲載可能(実際に面談した場合に限る)
- クレジットカード決済、コンビニ決済対応
- ヘルスケアアプリと連動可能
現在の問題点
精神疾患患者さんは「金銭的負担・時間的負担・精神的負担」など…様々な問題を抱えながら、精神疾患治療に励んでいます。でもこのアプリがあれば、そういう問題を軽減し、患者さんが病院に通いやすくなると考えました。
このアプリのメリット
「#前澤ファンド」で提案したこのアプリのメリットは以下の通りです。
患者のメリット
- 自宅でカウンセリングおよび診察ができることで体調を考慮して予約したり、通院したりする必要がなくなる。
- 相性のいいカウンセラーと確実に話せることで心理的・金銭的・時間的負担の軽減。
病院側のメリット
- 当日キャンセルの軽減。
- 現場の事務作業の軽減。
- 患者が病院内で待つ時間がなくなるため混雑解消。
- 入院患者に対するサポートを手厚くできるようになる?
- 患者側の顧客満足度も上がり、病院の評判自体も上がる。
- 自身の病院勤務のカウンセラーが評判になれば病院自体の宣伝になる可能性もある。
- 全国の病院との競合で自分の病院の評価をより良くしようと努める病院が増える。
カウンセラー側のメリット
- 当日キャンセルの軽減。
- 自身の勤務している病院の評判がよければ参入しやすい。
- 逆に自身の勤務している病院自体の口コミが悪かったとしても、自分の力量次第で担当の患者を増やすことも可能になる。
- 担当の患者が増えれば病院に依存せず独立することも視野に入れられるようになる
- ゆくゆくは独立支援サポートのコミュニティを作る?
このアプリの課題
アプリについての課題
- 「どんな人でも」簡単にワンタッチで操作できるアプリがつくれるか。
- 個人情報を取り扱うのでセキュリティの厳しいアプリを作れるか。
- 他の競合アプリとどこまで差別化できるか。
- カウンセリング時に患者側の話が外部に漏れないような工夫ができるか。
- カウンセリングは保険適用外であるので料金の問題。(このアプリがつくられることでカウンセリングの重要性が見直され、保険適用内になる未来も来る?)
- カウンセラー同士、病院同士で価格競争が行われ、業界全体の縮小につながる?(最低価格を決めたりする必要があるか?)
患者についての課題
- 精神疾患に罹患する患者は何をするにもハードルが上がっている場合が多いので、そこをクリアすることが可能なものをつくれるかどうか。
病院についての課題
- どのカウンセラーにも対応する必要になり逆に忙しくなる?
- 自身の病院に勤務しているカウンセラーの独立を懸念しないか。
カウンセラーについての課題
- フリーランスのカウンセラーと病院勤務のカウンセラーでどう差別化するか。
- カウンセラーの供給が高まりすぎて競争率が上がってしまった場合どう対処するか。
最終的にはこの市場がなくなることが目標であること
・社会全体で大きな働き方改革が行われれば(過労死などが厳罰化された場合)会社側も働き方を見直すので、市場が失われる可能性もある。それは理想的であるがビジネスモデルとしては破綻してしまわないか。
なぜその事業を選んだのか
2017年私は「適応障害」という精神疾患と闘病していました。しかしながら社内環境が合わず、わずか2か月後に適応障害に罹患し、4ヶ月で退職しました。その後厳しい闘病生活の末に、周りの支えもあってなんとか病気を克服し、2018年に合同出版さんより『なんで私が適応障害⁉暗闇の中で光を見つけた私。』というコミックエッセイを出版し漫画家デビューしました。
その本を出してから多くの適応障害患者さんから温かいメッセージをもらう一方で、読者さんたちから壮絶な闘病生活を聞く機会が増えました。それらを聞いて「彼らの役に立ちたい。」と考えた末に思い付いたアイデアが今回の事業内容です。

ちなみに10億円の使い道や事業計画は最低点だったので、載せる意味がないと思い省略させていただきました…
10項目の点数
それではこの事業内容の審査結果です。それぞれ10点で100点満点。結果は36点でした。それぞれの獲得点数と前澤社長からいただいたお言葉を貼らせていただきます。

ちなみに下記の画像がいただいた審査結果表です。
資料の内容や構成 5点
資料の内容は理解できるものの、期待感や高揚感を持てる資料とは言えません。特に最初の数ページで全容を説明できているかどうかは、資料の第一印象にもなりますので大変重要なポイントです。また、資料のデザインも魅力的で個性的な資料作りには欠かせない要素の一つだと考えます。
ビジネスモデルの新規性や着眼点 4点
ビジネスモデルとしては既出であり、すでに前例や似通った事業も散見されます。そうした事業環境の中、あえて参入するからには、資金やリソースなどの物理的な負担、また経営者としての精神的な覚悟など、諸条件が揃わない限り大きな成功はないものと考えます。ビジネスモデルや設計を少し見直し、新規性や参入障壁の高いモデルへのアレンジを検討してもよいかと思いました。
事業の収益性や規模感や成⻑性 3点
計画されている収支や成⻑率では、今回の 10 億円規模の投資に見合ったビジネス提案としては不十分に感じました。また、将来的な上場やエグジットを考えた場合においても、市場規模やビジネス自体のスケールが小さく、投資回収が困難になる可能性が高いと考えます。とはいえビジネスとしての意義は一定量あるかと存じますので、ビジネスモデル自体を否定するものではありません。
実現可能性 6点
やり方やタイミングさえ誤らなければ充分に実現可能性のあるビジネスだと感じます。ただ、実現可能性があるということは、同時に参入障壁がそれほど高くなく、誰にでもできてしまう可能性があることの裏返しでもありますので、ビジネスを加速させスケールさせるための、投資タイミングやリソース配分、マーケティング戦略など、経営の総合力が問われます。
出資金の使途 2点
出資金の使途が不明瞭で、何にどの程度の資金をどういったタイミングで投下するのかを、より具体的に計画する必要性を感じました。
競合優位性 4点
ビジネスモデルとしての新規性や革新性には欠けるものの、経営努力や、事業環境の変化などを味方につけることにより、競合他社の中で優位性を確立できる可能性はあります。ただ、他者にとっても参入障壁の低い分野でもあるかと思いますので、当項目における評価は低く設定いたしました。
提案者のビジョンや想い 6点
提案事業に対する経営者のお考えやビジョンが理解できました。なぜそれを今提案者様がやるのか、という理由やビジョンは、事業の武器としても大事な要素となりますので、引き続き軸がぶれぬようブラッシュアップされていくことを期待しています。
投資リスク 1点
投資対象として、リスクのわりにリターンの少ない、ハイリスクローリターンな投資案件であると評価いたしました。
上場の可能性 1点
新規性・成⻑性・収益性・話題性・社会性などの観点から、残念ながら上場を狙える投資案件ではないと評価しました。
社会貢献度 4点
本提案は、社会課題の解決や、SDGs などのサスティナブルな事業視点での考察に乏しく、本項目の評価は中庸にさせていただきました。前澤ファンドは「人や社会の課題解決」をテーマに掲げております。
今回の結果を受けて
応援してくれた方へ
まずは私の提案に期待し応援してくださっていた方々に、この場を借りて謝罪させていただきたいと思います。ご期待に沿える結果にならず、本当に申し訳ございませんでした。
正直今すごくショックです。結果通知を受けてから無心でこのブログ記事を更新していますが、私はこのアプリを開発して、病院に通うのも大変な精神疾患患者さんたちを早く救いたかったです。でもそれは私じゃなかった。という事実がただただ悲しく、むなしい気持ちでいっぱいです。

こんなかしこまった文章を書いていますが、本心は発狂しながら家中を駆け回りたいくらいショックを受けています。さっきからため息がとまりません。
ゆくゆくは誰かがこういったアプリやなんかを開発してくれて、精神疾患がもっと治しやすい病気になる日が来るかもしれません。ただただ悲しく、無念の気持ちでいっぱいですが…1日も早くそういうサービスが普及されることで、困っている精神疾患患者さんたちが1人でも多く救われてほしいと心から願っています。
やらない後悔より、やる後悔。
結果は残念でしたが、おそらく挑戦しなければずっと後悔していたとは思います。かのアインシュタイン先生は言いました。
「挫折を経験した事がない者は、何も新しい事に挑戦したことが無いということだ」と。私が失敗したのは挑戦した証なのだと、胸を張りたいと思います。
…とはいえ10万円分をあっさり失ってしまったので、これから改めて気を引き締め「漫画家」そして「漫画ブロガー」としてより成長できるようたくさん仕事をしたいと思います。
お仕事がんばります!
ブログのアイキャッチ画像(サムネイル)の作成や、Youtubeマンガ動画の作成、LINEスタンプの制作、広告マンガやイラストなど幅広く手掛けておりますので、興味を持っていただいた方は下のポートフォリオをぜひのぞきに来てください。

また2020年1月よりフリー素材イラストサイト「nokiart」をOPENしましたので、フリー素材にお困りの方はぜひ使ってあげて下さい。

最後になりましたが、落選してしまいましたが貴重な経験をさせてくれた前澤社長に心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました。